IgA血管炎・イギリス闘病記⑤ ようやく病名が判明
2月19日(金):
発症10日目 入院3日目
この日も腹部のエコー検査。
昨日、転院前に1回、転院後に1回。実に3回目の腹部エコー検査である。
エコーのユニットを腹部に押し付けられるのが痛いようで、検査中はずっと励ますように息子に話しかけていた。
「大丈夫だよ!」
「もうすぐ終わるよ!」
入院3日目にしてこの励ましの言葉を何度言ったか数えきれぬほどである。
検査結果は、
腸壁が若干厚く腫れているようだが他に問題は無い
とのことで一安心、、、というか毎度同じ結果なのだが、なぜ何度もやるのだろうか?
検査回数が多いほど誤診は減るのだろうけど、ここまで頻繁にやる必要性もなんだかよくわからなかった。
その後、病室に回診に来た医師から「Henoch–Schönlein Purpura(=IgA血管炎)」の疑いがあるとの話があった。
この診断スピードは、日本の医療レベルと比べると遅いのか、それとも同レベルなのか、一体どっちなのだろう??どう控えめに言っても遅いとしか思えないのだが。。。
こっちの医師のレベルが低いのか?それとも、英国では珍しい疾病であり診断そのものが難しいのか?
答えは分からないが、医師でもなんでもない妻でさえ割と早い段階でこの病気ではないかと疑っており、GP受診当初から紫斑について毎回医師に伝えていたにも関わらず、医師側から「HSP」という言葉が出たのはこの日が初めて。
素人のにわか調査よりも診断スピードが超遅い
という現実に対し、これから先の治療レベルについても不安を感じずにはおれなかった。
一方で、ようやく確度の高い病名が判明し、また、時間はかかるものの完治する病であることも分かり、先の見えなかった状態から少しゴールが見えてきた気がした。
この日、息子は下痢をこらえるのが難しくなり、下着とズボンを何度か破棄せざるを得ないほど汚してしまいった為、ナースにお願いして紙おむつを支給してもらった。
また、家で色々と情報収集をしていた妻がHSPの論文を探し当て(・・・ようこんなん探し出すわホントに)、日本ではプレドニゾロンというステロイド剤を使うのが一般的な治療であるということも分かった。
午後になり、病院側が手配してくれた通訳の方が突然現れてびっくり。
思わぬところで日本の方と話す機会が得られ、私も病名が分かって少し安堵していたこともあったので、待機時間に少し雑談などして過ごした。
話によると、登録制の通訳会社があるそうだ。
この方はそこに登録していて、今朝依頼を受けたとのこと。
通訳会社がカバーしている言語についても興味があったので伺ってみた所、やはり移民の国だけあって相当広く、聞いたことないような言語の通訳者も登録されているそうだ。
まあ、日本語も世界的に見ればマイナー言語なわけで、日本語がカバーされている時点でカバー範囲の広さは推して知るべしだったのかもしれない。
通訳の方の補助をうけ、医師の説明を一通り理解。
やはり検査結果や症状からもHSPで間違いないだろうとのことであった。
ついでに、
日本ではHSP治療にはプレドニゾロンという薬が一般的らしいのだが、
この国でもこのステロイド剤を使うのか?
と尋ねた所、ドクターの答えとしては、
・イギリスでもその薬を使うことがあるが、腎機能への影響が見受けられた場合に使うのが一般的
・この病気についてはNHSの治療ガイドラインがあるのでそれに従って治療をして行くつもりである
とのことであり、すぐにプレドニゾロン投与となるわけでは無さそうであった。
ひとまず今日は通訳の方が来てくれたので何とかなったが、ただでさえ聞き取れない英語に加え、医療用語のオンパレードで病院スタッフの説明がさっぱり理解できない。
このままだと色々と支障をきたすことが目に見えていたので、腸閉塞、腸、腹痛、検尿、、、など、よく使いそうな医療英語をノートに書き留めておいた。
また、そもそも日本語でもなんだかわからない医療器具などもあり、それについてはナースに
「これはなんて言うんですか?」
と質問して教えてもらい、同様に書き留めておいた。
腹痛:tummy ache/pain
点滴:infusion
尿:pee/urine
便:poo/feces/stool
エコー検査:ultra sound
麻酔クリーム:anesthetic cream(cream で通じる)
点滴薬の品名:Fluid
腫れる:swell
腸:intestinum, bowel
腸重積:intussusception
鎮痛剤:paracetamol
塞ぐ:obstruct
などが、良く会話の中で出てきた単語。
何となく持ち込んでおいたノートと筆記用具であったが、早くもこの入院生活では欠かせないものとなっていた。
まさにサバイバル英語だ。。。
和名すら分からず困っていた「点滴用の腕に刺しっぱなしにするやつ」は、Cannula(カヌラ)と言うそうだ。
これの交換が必要になり、看護士たちがやってきたが、何か手違いがあったらしくそのまま処置をせずに帰ってしまい、戻ってくることは無かった。
結局この日は投薬や点滴といった医療行為は一切ないまま放置。
こういう悪意の無いずさんな対処は、やはり海外は日本よりも多いと思う。
息子の足は昨日と比べても明らかに紫斑が増えており、いよいよHSPだという確信を得る。
嘔吐は二回。うち一回はめん棒を使った検査が雑で嘔吐を誘発させられたもの。
下着・おむつ交換は計五回。
腹痛と吐き気の訴えは少し減ったが、昨日よりも衰弱している感じは否めなかった。
異文化、異言語の壁に直面し、今後の不安が徐々に高まった日でもあった。
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