人生の夏休み 〜ロンドン駐夫の記録〜

「どうも、キャリアウーマンです」なワイフにライフを激しくコントロールされまくる、日々をまったり過ごしたいアラフォー終わりたての中年男子です。 職場の理解も快く得られ、晴れて休職。子供(姉・弟)と共に、妻の転勤、駐在に帯同する形で地球の裏側まで引っぱられ、ただ今初めての駐夫・専業主夫を経験中。 ほぼ同内容のInstagram【ID : @pondotaro】をこちらで清書。渡英前の事なども順不同でつぶやきます。

注文のできない料理店

先日、ホットドッグ作りからドイツ生活でのエピソードを思い出して書いたのだけど、そういえば時折作るカルボナーラにも思い出があったので書いてみる。

ドイツ生活当時、現地の関連会社に通っていたのだけど、通勤はトラムという路面電車を使っていた。
ホテルから一旦街の中心まで行き、そこで会社方面の線に乗り換える必要があり、片道40分ほど要した。我々(先輩と私)が退社するのは20時~21時の間が多く、

 これからホテルに戻って晩飯

と言うには少々遅い時間だったこともあり、帰り道で適当なレストランに寄るのが常だった。

現地の方々は遅くとも18時には完全に姿を消していて、我々の退社時間に社屋に残っている人は皆無だった。
敷地から出る際、守衛所を通るのだけど、ここで頻繁に荷物検査の刑を食らった。

社屋が空っぽの時間帯に、見慣れぬ東洋人2人が敷地内から外に出ようとしてたら爆裂に怪しいわけで、そりゃー捕まえて荷物検査したくなる守衛の気持ちも分かる。ほんの数分の足止めだし、しょうがない話なのだが、トラムの時間に合わせて退社している我々には、100%トラムに乗り遅れるというなんとも迷惑なオマケがついてきた。

夜のトラム運行は20分間隔だったので、数分遅れで乗り遅れると15分はヘンピな吹きさらしの駅で待ち続けることになる。
夜も遅いし、待ってる時間がもったいないので、

 こんなとこで待つんだったら近場にあるレストランで晩飯済ませて、
 いいタイミングのトラムに乗って帰りましょうや

という暗黙の了解が、私と先輩の間ですぐに生まれた。
会社からちょっと歩くと中華とイタリアンの店が1店舗ずつあった。

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どちらも結構美味しかったのだけど、我々はイタリアンのカルボナーラがお気に入りだったので、十中八九そっちに行っていた。
よく来る東洋人の2人組ということで、レストランのスタッフもすぐに我々のことを覚えてくれた。
その中に一人、イタリア人なのか、イタリア人気質のドイツ人なのか、どっちか分からないけど異様にフレンドリーな声のデカいウェイターがいた。
いつしか彼は、我々の来店に気づくと

彼「プレーゴ!ビッテシェーン!」

と声を張り上げるようになった。
ツカツカと歩み寄ってきて先輩か私の肩に手を置き

彼「オオ!ヤパーナー!ハッハーーー!!」

と叫ぶこともしばしば。

先輩「ツヴァイ(二人です)」

彼「ツヴァイ!?トゥーパーソン??OK!?アア!?(二人!?二人かよ??OK!?ああ!?)」


ああ!?の意味は未だにわかりかねているが、引くほどフレンドリーだったのは確か。
ビールと水を頼むと、

彼「ピルス、プレーゴォ、ミネラルヴァッサァ、ビッテシェーン、アア!?(ピルスビール、どうもぉ、ミネラルウォーター、どうもでーす、ああ!?)」

という感じで2,3分後には持ってきてくれる彼。
いつもカルボナーラを注文する我々に対し積もり積もった思いがあったようで、ある日彼は一線を超えた。

先輩「トゥーカルボナーラ、プリーズ(カルボナーラ2つお願いします)」

彼「ハッ・・・ ┐(´д`)┌」


彼は我々に失望したような声を出して回れ右、そしてテーブルから立ち去る素振りを見せた。
2歩くらい進んで回れ右して戻ってきて、

彼「\@%&#$、カルボナーラカルボナーラ!!カルボナーラ!!!@%&@^-:!!アア!?

と、カルボナーラ以外何言ってるかわからなかったが、

訳:オマエらいっつも同じもんばっか!カルボナーラカルボナーラ!!カルボナーラ!!!ってたまには他のもの頼めよ!ああ!?

と言っていた、明らかに。
しょうがないので、

先輩&私「ボンゴレ、プリーズ(ボンゴレでお願いします)」

と注文変えたところ

彼「オオ~~・・・@%&!スパゲッティ!スパゲッティ!!スパゲッティ!!!

と、それでもご不満の様子。
・・・まあ、これは予想できなくもなかった。
そして彼は先輩の肩に手を置いて、メニューの一つを指差し、

彼「%&@$$?&#?##&?」

言葉の意味は100%理解できなかったが、

訳:これ食えよこれ?うまいから、な?な?

と言っていた、間違いなく。
その日は注文ができなさそうだったので、彼の指示に従い何だかわからないそれを注文。
そして出てきたのはパスタ3種盛り合わせだった。おススメだけあって確かにうまかった。
我々がそのおススメを食している間にも時々様子を見に来て、

彼「&$#&#?ア?ア?アア!?」

これも言葉の意味は100%理解できなかったが、

彼「どうだ?うまいだろ?な?な?ああ!?

と言っていたことは明白である。

あまりにも強烈な体験だったため、未だにカルボナーラを見ると彼のことを思い出す。
そして私にとって「注文のできない料理店」は後にも先にもあの店だけだろうと思うのだ(おそらく先輩にとっても)。

・・・というかイギリスとかロンドンとか全然関係ない話が近頃多めになって来てしまったが、寒くて外に出たくない上に、ロックダウンで毎日缶詰で、朝から晩まで籠り子守り小森のおばちゃま状態でいっぱいいっぱいな日々の繰り返しなので、昔のことくらいしか思いつかんという事情もあったりします。

 

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